2007-01-01から1年間の記事一覧
映画にのめり込む僕の姿を見て、母は漸く気付いたようだった。 もうすっかり下の毛も生え揃った中学生になっていた事に…。 突如、お小遣いが2000円に撥ね上がったのだ。 飼い主の言う事をまったく聞かなかったチンパンジーでも、人並みに成長できるのだ…
“ミル・マスカラス”を知らなかったハヤシ君が、間もなく“ルー・テーズ”を語り始めたように、 僕もハヤシ君から巣立ち、生意気に映画を語るようになっていった。 幸いにして“引きこもり”や“睡眠障害”にならずとも、お茶の間では、ほぼ毎日のように映画が見ら…
悪夢の映画体験が、夢の中で蘇ることはなかった。 ただただ寝苦しいだけの夏の夜である。 翌日の終業式に、ハヤシ君は目を腫らして現れた。 寝不足か、はたまた泣き腫らしたのか…。 僕は、あえて昨夜の事には触れず、何事もなかった素振りで夏休みを迎え入れ…
扉を開けて館内に入った途端、「一人で集中したいから…」と言い残し、ハヤシ君は薄暗い座席へと消えて行った。 この寂しがり屋の利己主義め! 連れ小便か! この手の勘違い野郎は、跡を絶たない。 一人で見たいのなら、一人で見に来れば良いだけのことを…。 …
「本当は、Mr・Boo! が見たかったんだよなぁ…」 ■『Mr・Boo! ミスター・ブー』 (1976年/香港) マイケル・ホイ監督 ■『Mr.Boo! インベーター作戦』 (1978年/香港) マイケル・ホイ監督 …未だに、これも分からない。 ハヤシ君は、本当に映画好きだったのだ…
ハヤシ君の家は、ご両親とお姉さんの4人家族だった。 僕の家と、まったく同じ家族構成だ。 驚く事に、僕の姉とハヤシ君のお姉さんも同級生だったらしい。 おまけに母親同士が木目込み人形教室のお知り合いときたもんだ。 この分なら、父親同士が不倫関係に…
そもそも、ハヤシ君との距離を縮める為に見始めた映画だったが、正直、苦痛だった。 ちっとも面白くないのだ。 彼の要望に応え、テレビで放映される映画は深夜放送以外、欠かさず見るようにしたし、 「鑑賞ノート」も丁寧に書き込んではいたのだが・・・。 …
見たことも無い映画の話を、延々とされる程、つらいものは無い。 ハヤシ君の『ロッキー』攻撃は、留まるところを知らなかった。 少々食傷気味だった僕も、得意のプロレス談義に持ち込む事で、何とか面目を保とうとしたのだが、何せ相手は素人。 レスラーの名…
「映画を一生の趣味にしてやる!」 そんな馬鹿な一念を抱いてしまった切っ掛けは、中2の春にあった。 同じクラスになった映画好きのハヤシ君が、たまたま僕の後ろの席に座ったのだ。 そもそも“趣味”などという言葉とは無縁の遊び人だった僕は、 その日暮ら…
人生で初めて見た映画は、何であったろう。 考えてみたところで埒が明く筈もないが…。 遡れば、母親のお腹の中にいた頃に聞こえてきた映画があったやも知れねが、 当然、記憶に無い。 中途半端な記憶の線を辿って行くと、微かにドリフの映画が陽炎のように揺…
映画について書いていこう。 …と、ぼちぼち書き始めてみる。 ふとキーボードを叩きながら、果たして“書く”で良いものなのかと指先が止まる。 ペンも持たずに書くとはなんだ。 漱石や竜之介に失礼ではないか…。 …おっと、失礼を言うのなら「先生」とお呼びす…